脱ゆとり教育 消化不良にさせないために(4月9日付・読売社説)
約40年ぶりに学校で教える内容が増える。詰め込み教育に戻って子どもを勉強嫌いにさせないよう、学校や教員の力量が問われることになる。
学習内容を増やした小中学校の新学習指導要領が、理科と算数・数学について今年度から先行実施された。授業時間も増える。
全面実施は小学校が2011年度、中学校が12年度だが、国際学力テストなどで理数の学力低下が目立つため、繰り上げられた。小学5、6年生の英語も必修となるのは11年度からだが、今年度から取り組むところが多い。
理数は文部科学省が教科書会社に委託して補助教材を用意し、小学校英語は同省が自ら教材と教員用の指導資料を作成した。
教材は、身につけた知識を使って考え、表現する力などを養うため、記述する欄が多い。どう生かすかは教員の腕次第だ。独自のエピソードを交えたり、子ども自身に考えさせる時間を十分与えたりするなど工夫してほしい。
教員が互いに授業を見て批評し合い、わかりやすい授業に改善していくことも重要だ。保護者や地域住民が気軽に参観しやすい雰囲気づくりも大切だろう。校長が指導力を発揮し、学校一丸となって取り組まねばならない。
文科省や各教育委員会には、一層の環境整備が求められる。
科学技術振興機構の昨年度調査によると、理科の観察や実験で障害になっているのは、「準備や片付けの時間不足」「設備備品の不足」と回答した教員が多い。
事実、観察・実験を補助する理科支援員が配置されている小学校は約2割だ。教材費を自費で負担した教員は、小学校で5割前後、中学校では4人に3人に上る。
小学校英語には、学校現場の不安が強い。旺文社が昨年実施した調査では、英語必修化に不安を抱く小学校は約5割で、教委の約2割に比べてかなり高かった。
国の教員研修センターと各教委は、07年度から教委の指導主事らに、昨年度からは各小学校の中核となる教員に対し、研修を実施している。研修の効果を見極めながら進めることが大事だ。
教材や指導資料を使うかどうかは、各小学校に任されている。
指導資料の内容は盛り沢山(だくさん)だ。児童のレベルに応じ、英語に興味を持たせる授業でなければ、慣れ親しませるどころか、中学校入学前に英語嫌いを生みかねない。
指導資料の使い方を研修などで周知すべきだ。小中学校の緊密な連携も欠かせまい。
(2009年4月9日01時40分 読売新聞)
以上の記事、YOMIURI ONLINEより引用
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090408-OYT1T01333.htm
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「脱ゆとり」によって学習内容が増えれば、当然授業時間も増える。
そうなると、放課後の子どもたちの時間が奪われる。
子どもたちは、塾に通ったり、習い事をしたりで、ただでさえ遊ぶ時間がなくなっているのが現状である。
今後、さらに学校での授業時間が増えれば、子どもたちから自由な時間を奪ってしまうことにならないか。
自由な時間を奪われた子どもたちは、疲労によって、学校の授業に集中できなくなるかもしれない。
“遊ぶ”ことも必要だと思う、と言いたい。
行く行くは受験という壁を乗り越えなければならなくても、
今は遊ぶことによっても学ぶことがあるのではないか。
子どもと子どもが学校の教室という場以外で接することも、
コミュニケーション力や判断力を鍛えるために必要なことではないかと思う。
時間を奪われているのは、子どもたちだけではない。
現場の教師も時間を奪われることになる。
授業をいかに展開していくか、教師に予習は欠かせない。
授業内容が増えれば、そして難しい内容が増えれば、いかに楽しく、分かりやすく教えるかも考えなくてはならない。
これらのことによって、教師が子どもたちと接する時間が少なくなることは間違いない。
教師は人間である。
教師も当然家庭を持つだろう。
家でくつろぐ時間、教師が父母として自らの子どもと接する時間も減るだろう。
時間はお金では買えない。
その時、その時は、一瞬でしかない。
一瞬の貴重な時間を奪われることが、あって良いのか。
2009年4月9日木曜日
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